症例報告/改善事例：アトピー性皮膚炎∼重度のアトピーと肩こりなど全身状態も改善されたケース

ご来院者さま　

30代　女性　会社員

施術開始

2021年8月

症状・現病歴

幼少期からのアトピー性皮膚炎。小学校1年生の時に強く悪化する。大学病院に入院しステロイドによる集中治療を行う。以後ステロイド外用剤と保湿剤で寛解状態が続く。2018年頃より増悪。体幹側腹部を中心に全身に症状が出ている。初診時は皮膚科よりステロイド外用剤(強さ：very strong)・抗ヒスタミン剤・保湿剤を処方されている。

副訴として肩こり、頭痛、めまい。

所見・お身体の状態

舌診にて舌尖の赤みと強い歯痕がみられる。腹診は鳩尾、左右季肋部に圧痛があり、季肋部全体が緊張している。

僧帽筋の過緊張がある。背部全体の皮膚緊張が強く過敏になっており触れるとくすぐったがる。

深呼吸時に胸骨周辺の苦しさを感じる。

便通が悪く、特に通じが悪い際にアトピーの増悪を自覚している。

治療方針

上腹部および頸肩部の緊張緩和を中心に、アトピー好発部位の筋・皮膚緊張緩和による循環・代謝改善を目的とした施術を行う。自律神経調整と便通改善の施術も併せて行う。

鍼灸治療は初めてということもあり、主に接触鍼を用いて施術を行う。術後は深呼吸時の胸骨周辺の苦しさも改善される。

住環境・食事改善のアドバイスと自律神経調整のセルフケアもお伝えする。

まずは1週間毎の治療ペースをご提案する。

経過

2～5診

便通に改善が見られる。日常で首〜肩こりが軽減されているのを自覚するようになる。全体的に体調が良い日が続く。ストレスがかかることが多く、甘い物を食べてしまいアトピーも悪化する時があり。

6～10診

「肌質が良くなって来ていると感じる」とのこと。引き続き肩こりは以前より楽な状態を維持。

洗濯の際久しぶりに柔軟剤を使い、顔に痒みが出る。患者さま曰く「以前より柔軟剤の匂いが良い匂いと思えなくなった」とのこと。

仕事が多忙で食事・生活バランスが崩れがちな日が続き、便秘や下痢もあり湿疹も治りにくい状況。

11～15診

「そういえば、昨年より身体が冷えない」「物事を建設的に考えられるようになった」とのこと。

日常の仕事の忙しさやストレスが続いており、比例して皮膚状態も悪化しやすい。不眠や首肩こりも強く感じる。

16～20診

「昨年の今時期より、皮膚の状態良い」とのこと。生理周期の乱れやそれに伴う頭痛なども訴える。

21～30診

皮膚や全体の体調含め調子良い。便通や眠りも安定している。この頃より施術に腹部調整の手技を取り入れる。腹部への直接的なアプローチを加えると、より便通など胃腸の調子が良いとのこと。

現在、体調維持として月2回程度の治療を継続中。

治療によるアトピー性皮膚炎の改善評価　

※治療開始前10とし、無症状を0とする

痒み：10→7
皮膚の赤さ：10→6
乾燥：10→2
熱感・ほてり　－
ジュクジュク(湿潤)　－

〇 治療開始前の症状・お身体の状態

肩こり、首こりがひどい(日常生活に支障が出るほど)

アトピーが全身に出る

〇 治療を継続しての症状・お身体の変化

肩こり→少しこってかな？くらいになり、あまり気にならなくなりました

アトピー→乾燥があまり気にならなくなりました。顔にあまり出なくなりました。しっしんが出る頻度が減った？

〇 症状改善までの期間

施術回数を重ねる度

〇 その他、生活における変化

冷え、生理の改善

精神的に安定した(自分の体の状態が客観的にわかって安心、いつでも相談できるのでホッとします)

考察・まとめ

当症例では重度のアトピー性皮膚炎(全身性・幼少期からのアトピー・very strongのステロイド使用)であるものの、鍼灸等の継続によって症状緩和・維持出来た例となります。

また、日常生活に支障をきたすレベルの肩こり・首こりも改善され、お身体の冷え、生理、精神面も改善されたこともアトピーの改善に繋がったものと思います。

アトピー性皮膚炎は心身症のためストレスは悪化要因になります。当患者さまもお仕事の忙しさやストレスでの悪化もみられ、施術にて副交感神経優位の状態を導き、リラックスした時間を過ごしていただけたことも改善に繋がったと思われます。。

ただ、アトピーの患者さまは元々副交感神経優位の方が多く、ダラダラしてしまう・食べ過ぎる・寝すぎる・運動不足の傾向があります。日常ではリラックス状態を保ちながらも、メリハリのある生活リズムが大切になります。

アトピー性皮膚炎の治療は、3ヶ月を1クールとし、症状の改善やお身体の変化をみながら治療を進めていきます。

アトピー性皮膚炎の改善は、アトピーの現病歴、IgE値や家族歴などのアトピー素因、食習慣や住環境などの生活状況、身体的および精神的状態、社会的な要因などによってに個人差があります。

ホクラクでは患者さまおひとりおひとりへの最適な施術とアドバイスを行いながら、アトピー性皮膚炎の改善を一緒に目指していきます。