2021.11.21 起立性調節障害
起立性調節障害について
起立性調節障害と鍼灸による可能性
起立性調節障害(ОⅮ)の改善のため、鍼灸治療を希望される方は少なくありません。
病院での治療だけでは改善しにくい起立性調節障害の患者さまも、鍼灸治療も併せて行うことで改善のペースが上がる例があります。
起立性調節障害には自律神経の働きが大きく関与しており、当院が専門とする自律神経ケアのアプローチが効果的な場合があります。
起立性調節障害の患者さまは個々によって症状の程度や回復ペースも様々であり、おひとりおひとりに合わせた治療計画が重要となります。
一般的には重症になるほど改善に時間もかかるため、患者さまご本人やご家族の焦りが改善の妨げになりえる場合もあります。
また、精神的負担による不登校の要素も混合しているケースもあります。その鑑別のためにもホクラクでは患者さまと細かくカウンセリングを行い、保護者さま・ご家族、学校などと連携しながら、より効果的な回復のサポートをいたします。
以下が起立性調節障害とホクラクでの施術方針の大まかなとポイントとなります。
起立性調節障害の概要とホクラクの施術方針
- 概要
- 起立性調節障害は自律神経の働きが悪くなり、起立時に身体や脳への血流が低下する病気。
- 朝起きることが出来ない、食欲不振、倦怠感、頭痛、立っていると気分が悪く、立ちくらみなどの症状がおきる。
- 午前中に強く、午後からは体調が回復することが多い。夜には元気になり、目がさえて眠れないことも。
- 小学校高学年~中学生に多い(体の様々な機能が大人へと変化していく時期)
- 真面目で気を遣うタイプが好発傾向。
- 心身症であるため、症状には精神面も影響される。
- あくまでも体の病気であり、本人が頑張ればどうにかなるということではありません。
- 疫学
- 有病率:軽症例を含め小学生約5%、中学生約10%。重症約1%。
- 不登校約3-4割にODを併存。
- 性差:男:女 1:1.5~2
- 好発年齢:10~16歳
- 遺伝・家族性:約半数に遺伝傾向を認める
- 成因
- 起立に伴う循環動態の変動に対する自律神経による代償機構の破綻。過少・過剰な交感神経活動。
- 水分の摂取不足
- 心理社会的ストレスが関与。辛いのに登校しなければならないという圧迫感が病状を悪化
- 日常活動量低下→ 筋力↓自律神経機能↓→ 下半身過剰血液移動→ 脳血流低下→ 活動量低下
- サブタイプ ※起立性調節障害の中で(1)、(2)が多く、(3)、(4)は少ない傾向
- 起立直後性低血圧:起立直後の血圧低下からの回復に時間がかかるタイプ。
- 体位性頻脈症候群:血圧回復に異常はないが、起立後心拍の回復がなく上昇したままのタイプ。
- 神経調節性失神:起立中に急激な血圧低下によっていきなり失神するタイプ。
- 遷延性起立性低血圧:起立を続けることにより徐々に血圧が低下して失神に至るタイプ。
- 治療~非薬物療法(日常生活上の工夫)
- 坐位や臥位から起立するときには、頭位を下げてゆっくり起立する。
- 起立保持1-2分以上続けない。足をクロスで下半身血液を筋肉で押し戻す。下半身へ血流貯留を防ぐ。
- 水分1.5-2ℓ。塩分10gほどの多め。血液量が少ないので循環している血液量を増やすために。
- 毎日30分程度の歩行を行い、筋力低下を防ぐ。
- 眠くなくても就床が遅くならないようにする。日中は寝転がらない。
- ストレスコントロール
- 治療~薬物療法
- 非薬物療法を行ったうえで処方する(ミドドリン塩酸塩など)。薬物療法だけでは効果は少ない。
- ホクラクでの施術方針
- 自律神経バランスの調整→手足末端、耳介、呼吸調整などによる自律神経系への刺激。
- 筋緊張の緩和→頸部~頭部、下腿、脊椎周辺など。視床などの自律神経中枢への血流改善。
- 運動のアドバイス→下腿のストレッチや身体調整など、適切な運動指導。
- セルフケア指導→呼吸法やセルフマッサージなど。
- カウンセリング→治療へのモチベーション維持や、患者さまご本人の意向確認、主体性の尊重、治療計画の共有など。
患者さまとご家族をサポートさせていただきます
起立性調節障害は症状の特性と思春期に好発するということからも、身体と心と共に学校生活という社会的な部分にも影響を与える可能性があります。それゆえに悩み、一刻も早い改善を望まれる方が多い現状です。
起立性調節障害は、時に時間がかかりますが必ず良くなるものです。
改善を後押しできるよう患者さまとご家族のお力になれれば幸いです。
起立性調節障害でお悩みの方はどうぞご相談ください。