2022.05.24 アトピー性皮膚炎
アトピーと保湿

アトピーの患者さま、特にカサカサ・ガサガサの乾燥タイプのアトピーの方にとって、保湿は重要なポイントになります。
患者さまからも「保湿はしたほうがいいの?」「保湿には何がおすすめ?」といったご質問をいただきます。
アトピーと保湿について、ホクラクの考えを書いてみました。
「何も塗らなくて大丈夫なら、それがいい」
軟膏やクリームなどで保湿するのは、アトピーによって過度に乾燥している・皮膚バリアが弱くなっている分を補うためのものなので、基本的には何も塗らなくても済むならそのほうが良いです。
患者さまの痒みや不快感が減り、よく眠れたりなど日常生活が楽になるようであれば、合うものを必要な分使っていくのが良いと思います。
保湿をすると保湿できる皮膚になるわけでは無いですので、保湿してもしなくても変わらない・保湿するとムズムズするなど不快でしたらしなくていいと思います。
保湿をした方が良いという意見と保湿しないほうがいいという意見がありますが、患者さまの状態で変わります。
保湿しないほうが治る?保湿していたら治らない?
長期的に保湿剤を使用し続けることで、皮膚そのものの保湿する力を衰えさせたり、発汗の妨げになるという考えもあります。実際、長期的にステロイド等の塗り薬や保湿剤を使用している方は皮膚に熱がこもったような状態になっている場合が多いです。この場合の多くは深部に冷えを伴っていることが多いですので、体表のほてりと同時に身体の冷えも感じている患者さまが多いです。
このような場合は保湿剤を減らす・やめることで、アトピーが改善しやすくなる方が多いです。(脱保湿と言われます)
一気にやめることが出来ればベストですが、それだとお仕事や学校など日常生活に支障がでるようでしたら、段階的に保湿する頻度と程度を減らしていくようにします。
保湿のやり方
保湿はお風呂上がりや化粧水で保湿してからなど、皮膚に水分がある状態でその上に保護膜をはるように軟膏やクリームで保湿するのが良いです。
ワセリンなどシンプルに保護膜として作用が大きいものや、ヒルドイドなどヘパリン類似物質が含まれているものは血行促進等の効果もあります。
保湿に関しては合う合わないの個人差があります。保湿剤は塗らず化粧水だけのほうが良い方や、同じ配合のものでもジェネリックは合わないというケースもあります。
あと、合う合わないは「保湿剤の質感」によるところが大きいと思います。クリームか軟膏か、サラッとしているか重ためかなど、このあたりが個人差大きい印象です。
ちなみに僕は入浴後、乾燥が強い場所にだけホホバオイルを適量塗っています。
ホホバオイル以外もオリーブオイルやスクワランオイル、アルガンオイルなどなど、いろいろ試しました。ボディオイルにはビタミンなどの栄養成分や炎症を緩和するものもありますので、お試ししても良いと思います。
試すならまずはシンプルなものから
保湿剤でもオイルでも、効能が強いもの・成分が豊富なものはアトピーに関しては悪化するリスクもあります。オイルも栄養豊富なオーガニックより、精製されたオイルのほうがアトピーには無難な場合もあります。
アトピーは免疫の病気なので、身体に入ってくるものに対し「排除しなきゃ!」という反応が大きいほどに症状も出ます。効能が強いもの・成分が豊富はアトピーの方にとっては時に排除しなきゃ!の反応が強く出る場合があります。食べ物にも同様のことが言えます。
なので、保湿剤なども選ぶ際は出来るだけシンプルなもの、添加物が少ない方がベターです。
部屋の湿度管理もポイント
皮膚の乾燥状態には空気の湿度も大きく影響受けます。
特に皮膚バリア機能が損なわれているアトピーの方にとって、湿度管理は重要ですね。ホクラクでも院内湿度は40~55%に保たれるよう管理しています。
免疫という意味でも乾燥は注意です。鼻の奥にある「上咽頭」は免疫機能にも関わる場所ですので、鼻の乾燥などで上咽頭炎を起こすことを防ぐのも大事です。
また、部屋の湿度はウィルス感染リスクにも影響するので、その意味でも適切な湿度を保つのは大切にですね。
アトピーの方にとって、保湿はQOL向上に関わる重要なポイントです。適切な保湿と乾燥対策をしていただき、よりアトピーが改善されるようお力になります。