はりきゅう・こきゅう
ホクラク

2023.02.7 アトピー性皮膚炎

症例報告/改善事例:アトピー性皮膚炎∼薬の効きにくいアトピーが鍼灸治療で改善したケース

ご来院者さま 

10代 男性 高校生

治療開始

2022年3月

症状・現病歴

生後間もなく体中に湿疹を発症。ステロイド外用剤を塗ると治まり、塗らないと出るを繰り返し、発症4年後には薬でも湿疹を抑えきれなくなる。長期休み等利用しての湯治により小学4年生頃には完治と言って良いほど改善する。以降無症状だったが、2021年、中学3年生の春に突然背中一面にジュクジュクした湿潤型の湿疹が再発。同年夏には首、顔にも湿疹が出る。再度湯治にて改善はするが、日が経つにつれ湿疹が出てくる。一時コレクチム軟膏を試すが副反応のニキビに悩まされ、ステロイドも試したが患者本人の思う結果にはならず2週間程でステロイドも中止。
その後、ステロイド使用によると思われる副反応や思春期の敏感な心情などによって登校もままならない状況になる。1ヶ月ほど湯治をし症状も落ち着き高校受験を迎える。高校入学後は症状も落ち着いていたが、2021年11月頃に部活を辞めて以来悪化傾向になる。特に顔や首など外見的に見えやすい部位に好発することもあり精神的にも過敏・不安定になる状態。

現在、皮膚科にて漢方薬(消風散、荊芥連翹湯)とビオチン療法も行う。

所見・お身体の状態

脈は強く速い。舌診にて舌尖に強い点状の赤みがみられる。腹診は鳩尾、右季肋部に著明な圧痛があり、季肋部全体が緊張している。後頚部および乳様突起周辺に筋硬結が触知される。

手足末端に自覚的・他覚的冷え。顔面~頭部にほてり・熱感がある。手掌・足底に心因性発汗が好発する。

天候による体調変動あり。耳閉感、目の疲れ、鼻詰まりあり。

睡眠は眠りが浅く、よく夢を見る、朝起きるのが辛い。

二便は頻度・状態ともに問題無し。

治療方針

上腹部の緊張緩和および自律神経の調整を主に、アトピー好発部位の筋・皮膚緊張を緩和し循環・代謝改善をねらう。睡眠の改善と精神面安定の施術も併せて行う。

頚部の硬結や手足末端の症状から自律神経の失調(交感神経優位)が考えられるため、耳・脊椎周辺・頭皮などへの施術も行う。

住環境・食事改善のアドバイスと、首まわりのコリや自律神経調整のセルフケアもお伝えする。

1~2週間毎の治療ペースをご提案する。

経過

2~5診

湿疹部位のかさぶたの状態が変わる。本人曰く「今まで気付かなかったが、鍼灸治療で身体が緩むことで、逆に肩に力入るのがわかるようになった」とのこと。肩~首の肥厚しガサガサした皮膚が正常な皮膚に近づいてくる。皮膚の改善部位が肩から首へと上部に向かいながら変化している。

6~10診

まぶた周りの皮膚状態が良くなってくる。ガムを食べると悪化(湿潤・ジュクジュクタイプのアトピー発症)するとのこと。学校や自分自身のことも話してくれるようになる。鼻詰まりに対して「鼻うがい」の提案する。日常での掻く頻度が減る、朝のみ少し掻く程度に。

11~15診

本人曰く「今の状態なら湯治にいかなくてもよさそう」とのこと。アトピー症状の範囲が狭くなり、上部により限局してくる。また、この頃からマスクをとって表情を見せてくれるなど行動にも変化が見られるようになる。漢方薬も飲まなくてもいい日が増えている。また、顔の症状も気にならなくなったとのこと。この時点で患者さま自身の体感値として8~9割アトピーが改善しているとのこと。

現在、体調維持として月2回程度の治療を継続中。

治療によるアトピー性皮膚炎の改善評価 

※治療開始前10とし、無症状を0とする

痒み:10→1
皮膚の赤さ:10→2
乾燥:10→2
熱感・ほてり:10→2
ジュクジュク(湿潤) ―

〇 治療開始前の症状・お身体の状態

顔、首、肌が赤く、少しかたい、目立つなど

〇 治療を継続しての症状・お身体の変化

顔首の普通の肌の部分が増えた

〇 症状改善までの期間

施術回数を重ねる度

〇 その他、生活における変化

薬はへった

考察・まとめ

アトピー性皮膚炎の治療は、3ヶ月を1クールとし、治療を続けての変化、今後の治療方針などについて患者さまとカウンセリングを行います。

アトピー性皮膚炎の改善は、アトピーの現病歴、IgE値や家族歴などのアトピー素因、食習慣や住環境などの生活状況、身体的および精神的状態、社会的な要因など、それら総合的な要因で個人差が生まれます。当症例では1クールで大きく改善出来た例となります。

現病歴は長くも、その他悪化要因が少なかったこと、治療を重ねる毎に当院の施術への肯定感や信頼を構築できたことも改善の早さにつながったものと考えます。

アトピー性皮膚炎は心身症のため、思春期は発症・悪化しやすい時期でもあります。

思春期に悪化しやすい方の特徴としては、元々副交感神経優位のどちらかというとのんびりマイペースタイプの方が、学校生活や他者との関係、受験・進学・就職などの要因によって相対的に交感神経優位になっていることが多い傾向にあります。

治療によって心身ともに楽になるサポートを行い、アトピー性皮膚炎の改善を患者さまと一緒に目指していきます。

※効果には個人差があります

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